天気予報でよく耳にする
「熱帯低気圧」「温帯低気圧」「台風」。
なんとなく聞いたことはあるけど、
それぞれの違いってちゃんと説明できる?
この記事では、これら3つの低気圧の違いや関係性、
そして構造や仕組みをやさしく解説します☁️
気象の基本を理解して、防災にも役立てましょう。
熱帯低気圧と温帯低気圧と台風の違いは?
熱帯低気圧・温帯低気圧・台風には、
それぞれ明確な違いがあります。
熱帯低気圧
海上で発生、潜熱をエネルギー源とする
台風
強まった熱帯低気圧(最大風速17.2m/s以上)
温帯低気圧
寒気と暖気がぶつかって発生、前線あり
それぞれの特性を知り、備えることで
突然の大雨や強風にも落ち着いて対応できるようになります。
低気圧とは何か
まず、そもそも「低気圧」とは?
周囲より気圧が低いエリアのことで、
そこには空気が集まり、上昇気流が発生します。
その結果…
- 雲が発生しやすい
- 雨や風が強まる
- 気温や湿度が変化しやすい
といった現象が起こります。
「熱帯低気圧」「温帯低気圧」「寒冷低気圧」などに分類されます。
今回は、特に日本に影響の大きい3種類に絞って紹介します。
熱帯低気圧とは?
熱帯低気圧の基本
熱帯低気圧は、
熱帯~亜熱帯の海上で発生する低気圧です。
暖かい海から大量の水蒸気が供給され、
それが上昇気流によって雲を作り、雨を降らせます。
特徴としては…
- 前線を伴わない
- 暖かい空気のみで構成
- 海水温26~27℃以上の海域で発生
- 主に北緯5~25度の範囲で見られる
赤道直下では地球の自転による「転向力」が弱く、
熱帯低気圧は発生しにくいという特徴もあります。
熱帯低気圧から「台風」へ
熱帯低気圧のうち、
最大風速が17.2m/s(約34ノット)以上になると
「台風」と呼ばれるようになります。
つまり…
台風は熱帯低気圧の一種なんですね。
▶関連記事:「台風と熱帯低気圧の関係とは?」
台風とは?
台風の定義と特徴
台風は、
北西太平洋または南シナ海で発生し、
最大風速17.2m/s以上に発達した熱帯低気圧です。
特徴としては…
- 「眼(Eye)」と呼ばれる雲のない領域が中心にできる
- 眼が小さくはっきりしているほど勢力が強い
- 夏~秋(特に8~9月)に日本へ接近・上陸しやすい
台風の発生条件
台風が発生・発達するためには、
以下の条件がそろう必要があります。
- 海水温が28℃以上
- 湿った空気が豊富
- 大気が不安定
近年は地球温暖化の影響で、
日本近海でも海水温が高くなり、
台風が発達しやすくなっているとも言われています。
台風の「大きさ」と「強さ」
台風は以下のように分類されます。
【大きさ(強風域の半径)】
- 大型(=500km以上)
- 超大型(=800km以上)
【強さ(最大風速)】
- 強い
- 非常に強い
- 猛烈な
▶関連記事「台風のランク分けと避難目安まとめ」
温帯低気圧とは?
温帯低気圧の特徴
温帯低気圧は、
中緯度(北緯30~60度付近)で発生する低気圧です。
暖かい空気と冷たい空気がぶつかることで発生し、
「前線」(寒冷前線・温暖前線)を伴うのが特徴です。
主なポイント
- 前線を伴う
- 南側に暖気、北側に寒気がある
- 春や秋に日本列島に接近・通過する
特に春や秋には、
この温帯低気圧が日本に広範囲の雨や風をもたらします。
熱帯低気圧・台風との違い
台風と温帯低気圧の違いを整理すると、次のようになります。
項目 | 熱帯低気圧/台風 | 温帯低気圧 |
---|---|---|
発生場所 | 熱帯~亜熱帯の海上 | 中緯度(陸・海) |
エネルギー源 | 海水と水蒸気(潜熱) | 暖気と寒気の温度差 |
前線の有無 | なし | あり |
構造 | 対称型 | 非対称型 |
強風の分布 | 中心付近が最も強い | 広い範囲で強風 |
▶関連記事:「低気圧の種類と見分け方」
台風が温帯低気圧に変わるとは?
変化のタイミング
台風は、日本列島付近の
冷たい空気の領域へ進むと「温帯低気圧」へと変化します。
これは、
エネルギー源が「暖かい海」→「寒暖差」へと変わるためです。
台風が北上し、海水温が低くなったり、
寒気と出会ったりすると、徐々にその性質を変えていきます。
台風から温帯低気圧への変化の流れ
1. 台風が北上し、海水温が下がる
2. 寒気と暖気がぶつかる領域に差しかかる
3. 前線が形成される
4. 中心構造が変化し、対称性が崩れる
5. エネルギー源が変わり、温帯低気圧に
このように、構造とエネルギーの変化が連動して起こります。
変わった後も油断は禁物
台風が温帯低気圧に変わると聞くと
「勢力が弱まる」と思う方も多いですが、
実際には暴風や大雨が続くこともあります。
特に温帯低気圧になっても…
- 風が強く吹き続ける
- 広範囲に強い雨
- 前線による線状降水帯の発生
といったリスクがあるため、
「台風じゃなくなったから安心」とは限りません。
▶関連記事:「温帯低気圧でも油断できない!過去の災害事例」
まとめ
熱帯低気圧・温帯低気圧・台風には、
それぞれ明確な違いがあります。
- 熱帯低気圧:海上で発生、潜熱をエネルギー源とする
- 台風:強まった熱帯低気圧(最大風速17.2m/s以上)
- 温帯低気圧:寒気と暖気がぶつかって発生、前線あり
また、台風が温帯低気圧へと変化する過程も、
気象災害を理解するうえで重要な知識です。
それぞれの特性を知り、備えることで
突然の大雨や強風にも落ち着いて対応できるようになります。
ぜひ、今回の記事を防災知識として役立ててくださいね☁️